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農業政策


農業について

那珂市 稲刈りの様子

 今の日本の農業従事者は平均年齢65歳だそうで、しかも、35歳未満はたった3%だそうです。国勢調査によると那珂市の農業従事者数も平成7年には4,354人だったのが平成22年には1,591人と激減し、同じように高齢化や農業を離れる割合が進んでいます。私も田畑2haを耕作していますが、このままでは将来の食糧事情や農地の適正な管理が危ぶまれる可能性があります。今の農業全体を考えると、まだまだ戦略的な農業が行われる環境ではありませんが、若者に夢のある農業が行われるような取組みに全力で頑張ります。

那珂市農業の4つの柱

  1. 新たな産品の開発や地域ブランド化を進め、生産から加工、販売につながる農業の6次産業化を進める。
  2. 収益性のある作物の栽培や栽培技術の普及により、農業経営の向上をも目指す。
  3. 若者への技術継承を含めた育成支援を行い、将来の担い手の確保を図る。
  4. 農地の有効活用を含め、意欲ある農業者が規模拡大を図れるような対策を進める。

那珂市農業関係の取り組み

ここからは、平成20年3月に平成29年度を目標年度として、まちづくりの基本となる第1次那珂市総合計画を策定し、25年度からは前期計画をもとに後期計画を策定しました。その第5章活力があり賑わいのあるまちづくりの中から農業について報告します。

農業関係では、前期に活力ある農業の振興を図るという施策で、次のような取り組みを行いました。

  • 地域の農業や農村の活性化を図るため、農産物直売所等を活用し、地産地消を進めた。
  • 農地の貸し出し。
  • 米の生産調整を進めるなかで戸別所得保障制度について周知と転作奨励補助金の交付。
  • 市場性のある園芸品目の普及や品質向上を図るため、調査・研究活動を支援。
  • 福島第一原子力発電所事故の影響による風評被害等などによる損害について、賠償請求。
  • 遊休農地の解消を図るため耕作のあっせんや、農地保全のための作付けを推進した。
  • 農業後継者を育成するため、情報交換会や先進地視察を行った。
  • 認定農業者などの育成・支援のたに必要な機械設備や農地の取得などにかかる費用に補助を行った。
  • 中核的担い手農家に農地賃借の助成や、中核的担い手農家の育成、生産性の向上を図った。
  • 農業生産の向上のため、土地改良事業を推進し、生産基盤の整備や維持管理のため、土地改良区や水利組合などの事業に補助を行った。
  • 農業経営の安定や生産性の向上を図るため、農道や農業用排水路、溜池などの生産基盤を整備した。
  • 森林の広域的機能を確保するため、森林愛護活動を行っている団体の活動を支援した。

以上のような第1次那珂市総合計画前期の取り組みに対して、現状はというと次のようになっています。


那珂市農業の現状

  • 本市は那珂川と久慈川に挟まれた平坦で肥沃な土地に恵まれており、農業は市の基幹産業となっている。
  • 平成23年度の農地面積は4,497haで、有給農地は203haとなっている(農地利用状況調査)
  • 農家戸数は平成23年度で2,986戸となっており、減少傾向にある。
  • 農業の生産性の向上を図るため、かんがい排水や溜池などの生産基盤の整備を行った。
  • 農業活動拠点施設の農産工房は年間170日の利用があり、農産物直売所の平成23年度は、年間7万人に利用された。
  • 市民農園は、1区画30㎡で、100区画のうち86区画を、また、ふれあい農園については1区画20㎡で、全35区画を貸し出した。
  • 戸別所得補償制度については1,139件の取り組みがあった。
  • 認定農業者数、平成23年度末で81経営体となっている。
  • 余暇活用施設しどりの湯保養センターの利用者数は、平成23年度は震災復旧のため6,204人でしたが、平成22年度は46,752人の利用があった。

以上の現状からみると後期計画に向けて次のような課題があります。


那珂市農業の課題

  • 経営の安定化のため、地域ブランドの創出や販路の拡大を図る必要がある。
  • 小規模農家生産意欲の向上を図るため、地産地消の拡大に取り組む必要がある。
  • 農家(生産者)数や営農規模の拡大、収益性のある新たな作物の栽培など、経営の安定化を図るための取り組みが必要である。
  • 農業や畜産業は、生産量や収入が社会情勢や気候などによる影響を受けやすいため、生産体制の強化や経営の安定化に向けた取り組みが必要である。
  • 家畜の伝染病や農作物の病害虫・鳥獣被害の予防に加え、放射能による被害について、適切な情報提供と啓発が必要である。
  • 農地の有効利用のため、担い手などに積極的に遊休農地を借りてもらうことが必要である。
  • 農業の担い手が高齢化していることから、若者への技術継承を含めた育成支援を行い、従事者の確保を図る必要がある。
  • 農作物の安定的な生産のために、生産基盤の整備を進める必要がある。

那珂市農業の五つの基本事業

前期計画の取り組み、現状、課題から後期計画は次の五つの基本事業からなる方針に決定された。

(1)農業経営の発展
(2)安全な食料の安定供給
(3)農地の有効活用
(4)担い手による農業の展開
(5)生産基盤の整備と保全

(1)農業経営の発展

  • 地域が一体となって農業に取り組み、資源や技術を活用して農業生産を向上できるよう市地域農業マスタープランを作成する。
  • 収益性のある戦略的作物の導入や適切な栽培技術の普及により、農業経営の向上をも目指す。
  • 農業生産者や市商工会と協働で、地域ブランドとなる新たな産品の開発や、生産から加工、販売につながる農業の6次産業化を進めて、所得の向上と新規就農者の拡大を図る。
  • 農産物直売所や商業施設の活用を含めた販路の確保や、学校給食における地元野菜の採用など、地産地消を強化して農家の生産意欲を高めます。また、新たな販路の開拓に取り組みます。

(2)安全な食料の安定供給

  • 経営所得安定対策を推進して、農家が米の生産を継続できるように支援し、市民への食料の安定供給を図る。
  • 安全・安心な食料を市民に安定的に届けられるよう、需要に応じた野菜栽培を振興するとともに、農業栽培技術の指導・普及を図る。
  • 畜産農家に対して伝染病の予防に関する啓発や情報提供を行う。
  • 病害虫や鳥獣による農作物被害の予防を図る。また、放射能による被害については、適切な情報提供を行う。

(3)農地の有効活用

  • 農地の有効活用を進め、意欲ある農業者が規模拡大を図れるよう、利用権設定制度の普及・啓発を進める。
  • 遊休農地について、土壌飛散や雑草の繁茂を防止するとともに、将来にわたって農地を保全するために土地の所有者に麦などの作付けなどを奨励して、農地の適正な管理を進める。

(4)担い手による農業の展開

  • 農業・農村の活性化と発展のために、地域農業の担い手の確保を図る。
  • 中核的な農業経営体が経営規模を拡大するとともにコスト縮減などに取り組み、継続的な農業生産が図れるよう支援する。
  • 担い手の経営合理化のために農業生産法人などの組織化を進める。
  • 将来の担い手となる農業後継者を育成するため、農業技術の習得や情報交換の場として、研修や交流の機会を提供する。

(5)生産基盤の整備と保全

  • 農業生産の基盤施設であるほ場や用水路、排水路などの土地改良施設の整備を進めるとともに、機能が保たれるよう維持管理を行います。
  • 震災からの復興を推進するために、災害に強い農業生産基盤の整備を進める。